小出シンバル ハンマリングワークショップ イベントレポート
2016年2月28日 大阪が誇る日本唯一のシンバルメーカー「小出シンバル」工場にて、ハンマリング ハンマリングワークショップを開催いたしました。

今回のイベントは、沢山のお客様よりリクエストを頂いていた企画!
どらむ村スタッフと小出シンバルの代表 小出俊雄 社長さんとで、何度も打ち合わせを行い遂に実現したこのイベントは全国より沢山の参加ご応募を頂きました。
小出社長ありがとうございます!

今日はイベント当日の様子を少しだけレポートさせて頂きます!
今回のハンマリング ワークショップは、小出シンバルの小出俊雄 社長ご自身にシンバル作りのメインとも言える大事な行程「ハンマリング」の極意を伝授してもらい、さらに参加者様ご自身の手で、本格的にハンド ハンマリングを施してシンバルを作って頂くという、大変珍しい企画です。

さらに、作っていただいたシンバルはお持ち帰りいただけるというビッグな特典も付いています!
当然、ご参加いただいた参加者様はシンバル作成は初めての方ばかり。
関西圏在住の方以外にも、なんと、このワークショップの為に金沢からご参加いただいた方もいらっしゃいました。
まず、簡単な自己紹介の後、早速工場に移動し作業スタート!
今回はシンバルの素材として最も代表的なB20ブロンズ(銅80%+錫20%の合金)を用い
ハンマリングによって全体の形状から作ってゆく最もトラディショナルな作業工程で、
18”のクラッシュ ライドの作成に挑戦していただきました!

作業前の素材はカップ部分が盛り上がっているだけの、円形の金属の板のような形。
何度も熱処理を行っているので表面は焼き焦げたようになっています。

この金属の板にハンマーを打ち込んで形を作り、シンバルの形に整えていくわけです。
①全体のカーブ作成
まずは、表面からボウの部分にハンマーを打ち込んで、シンバル全体の形状作り!
ハンマーを打ち込まれた部分は金属が少しだけ伸びて、局所的に広がりが生まれます。
これを繰り返すことで素材全体が反ってきて、シンバルに必要なカーブ(全体の傘型形状)を作ることができるのです。
ちなみに、ハンマーで打つと言ってもガッツリと握り込んで叩いていては、とてもじゃないですが振動で手がもちません。イメージ的にはドラムのストロークによく似ていて、上からハンマーを落としシンバルに当たってから握り込んでキャッチする感覚でハンマリングしていきます。


また、シンバルを乗せる金属台の同じ部分を打つイメージでハンマーを打ち、シンバルの方を動かして打つ場所を変えていきます。

素材の板の面に対してハンマーの打面が並行に当たるように正しくハンマーできると、「カン!」というクリアな音になるので、最初はこの音が安定して出せるように意識して加工を続けていきます。
これだけでも結構難しいんですよ!
途中、工場見学も交えながら作業は続てゆくと、平かったシンバルの素材は通常のシンバルとは逆の方向に、みるみる反り返ってきました。

②曲げ直し加工
ここで、あまり反り返る角度がキツくなってくると、台に乗せにくく作業も困難になるので、
シンバルに力を加えて、通常のシンバルのカーブがついている方向に曲げ直します。

写真のように専用の台に固定して、手前に引っ張ることで逆方向に反った形状を修正していきます。
B20ブロンズ製のシンバル材はとても弾力に富んだ”しなやか”な性質を持っており、意外なほど簡単に曲げ直すことができますね。
参加者の皆さんも最初は恐る恐る引っ張っていましたが、最後には勢いよくスピーディーに曲げ直していました。
この時、通常のシンバルと同じ向きに曲げ直されても、ハンマリングで局所的に変形した部分は型がついて角度が保たれるので、全体的に少しずつシンバルっぽい傘型の形状が出来上がってくるのです。
このように表からのハンマリングを全体的にまんべん無く均等に行い、順方向に曲げ直していくことで、シンバルに必要なボウ部分の反りをしっかりと作ることができるのです。
ちなみにハンマーを入れる場所は、完成時にトーンがしっかりと出やすくなる性質があるそうで、振動の早い内側を多く叩くと高音が目立ち、振動の遅い外側を多く叩くと低音が出てくるとの事。
形状的にも真ん中を多く叩くと、クラッシュによく見られる傘型に近い急角度なフォルムを作る事ができて、高音が目立ってきます。面白いですね!
③仕上げ整形
こうして全体のフォルムが完成してきたら、次は全体の形状を整えていきます。
まず、シンバルの理想的なカーブに切り取られたスケールをシンバルに当てて形状を確認。

さらに、水平な金属台の上に乗せ、エッジに浮きがなく均等に乗っているかを確認します。

ここから全体を手で触って凹凸を確認し。
状況に応じて表、裏からハンマーを入れて、全体の形状にムラが出ないように整えていきます。

この段階まで来ると繊細な加工が要求されるので、ハンマーもストロークを小くし丁寧に打ち込まれていきます。
この難しい加工も小出さんの素晴らしい指導のおかげでスムーズに進み、皆さんイイ感じに整ったシンバルを作ることができましたね。

④レイジング
ハンマリングの次は音溝を掘っていく「レイジング」の工程に移ります。
旋盤に固定したシンバルを高速回転させ、そこにブレードを押し当ててシンバルを削っていきます。

レイジングは音に大きな影響を与える上に、やり直しのできない熟練の技術が必要な作業ということで、今回は小出さんに加工をお願いしました。

理想とするサウンド、お持ちのシンバルとの相性を参加者さん、小出さん、どらむ村スタッフでディスカッションしながら、目標の厚さ、重さなどを決定し、小出さんの丁寧なレイジングでシンバルが仕上げられます。


ハンマリングしたシンバルが仕上げられていく工程を見守る、参加者の皆さんの視線も真剣そのものであります!

⑤完成
こうして約3時間にわたる作業の末、ようやくシンバルが完成!

どのシンバルも綺麗に仕上がっています。
せっかくですので、皆さんに完成したシンバルを試奏して頂きました。
皆さんようやく自分で作ったシンバルを叩く事ができ、感動もひとしおです!

とは言ったものの、実はハンマリングしたてのシンバルは金属が安定しておらず、すぐには綺麗な響きでは鳴ってくれません。
ここから、少しずつ時間が経つことにより、最初のこもった感じがなくなってきて明るさを増し、立ち上がりの良い素直な美しいサウンドに変化してきます。
B20材シンバルのサウンドが安定するまでには、なんと1か月もかかるそうですが、作りたてのシンバルを持って帰って、少しずつ音が完成していく様子を聴き比べれるのも、このワークショップならではですね。
最後は皆さん完成したシンバルを手にして記念撮影!

皆さん長時間の作業お疲れ様でした!ご参加ありがとうございます!
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その他の最新情報はこちらでチェック!
http://actdrum.blog.fc2.com

今回のイベントは、沢山のお客様よりリクエストを頂いていた企画!
どらむ村スタッフと小出シンバルの代表 小出俊雄 社長さんとで、何度も打ち合わせを行い遂に実現したこのイベントは全国より沢山の参加ご応募を頂きました。
小出社長ありがとうございます!

今日はイベント当日の様子を少しだけレポートさせて頂きます!
今回のハンマリング ワークショップは、小出シンバルの小出俊雄 社長ご自身にシンバル作りのメインとも言える大事な行程「ハンマリング」の極意を伝授してもらい、さらに参加者様ご自身の手で、本格的にハンド ハンマリングを施してシンバルを作って頂くという、大変珍しい企画です。

さらに、作っていただいたシンバルはお持ち帰りいただけるというビッグな特典も付いています!
当然、ご参加いただいた参加者様はシンバル作成は初めての方ばかり。
関西圏在住の方以外にも、なんと、このワークショップの為に金沢からご参加いただいた方もいらっしゃいました。
まず、簡単な自己紹介の後、早速工場に移動し作業スタート!
今回はシンバルの素材として最も代表的なB20ブロンズ(銅80%+錫20%の合金)を用い
ハンマリングによって全体の形状から作ってゆく最もトラディショナルな作業工程で、
18”のクラッシュ ライドの作成に挑戦していただきました!

作業前の素材はカップ部分が盛り上がっているだけの、円形の金属の板のような形。
何度も熱処理を行っているので表面は焼き焦げたようになっています。

この金属の板にハンマーを打ち込んで形を作り、シンバルの形に整えていくわけです。
①全体のカーブ作成
まずは、表面からボウの部分にハンマーを打ち込んで、シンバル全体の形状作り!
ハンマーを打ち込まれた部分は金属が少しだけ伸びて、局所的に広がりが生まれます。
これを繰り返すことで素材全体が反ってきて、シンバルに必要なカーブ(全体の傘型形状)を作ることができるのです。
ちなみに、ハンマーで打つと言ってもガッツリと握り込んで叩いていては、とてもじゃないですが振動で手がもちません。イメージ的にはドラムのストロークによく似ていて、上からハンマーを落としシンバルに当たってから握り込んでキャッチする感覚でハンマリングしていきます。


また、シンバルを乗せる金属台の同じ部分を打つイメージでハンマーを打ち、シンバルの方を動かして打つ場所を変えていきます。

素材の板の面に対してハンマーの打面が並行に当たるように正しくハンマーできると、「カン!」というクリアな音になるので、最初はこの音が安定して出せるように意識して加工を続けていきます。
これだけでも結構難しいんですよ!
途中、工場見学も交えながら作業は続てゆくと、平かったシンバルの素材は通常のシンバルとは逆の方向に、みるみる反り返ってきました。

②曲げ直し加工
ここで、あまり反り返る角度がキツくなってくると、台に乗せにくく作業も困難になるので、
シンバルに力を加えて、通常のシンバルのカーブがついている方向に曲げ直します。

写真のように専用の台に固定して、手前に引っ張ることで逆方向に反った形状を修正していきます。
B20ブロンズ製のシンバル材はとても弾力に富んだ”しなやか”な性質を持っており、意外なほど簡単に曲げ直すことができますね。
参加者の皆さんも最初は恐る恐る引っ張っていましたが、最後には勢いよくスピーディーに曲げ直していました。
この時、通常のシンバルと同じ向きに曲げ直されても、ハンマリングで局所的に変形した部分は型がついて角度が保たれるので、全体的に少しずつシンバルっぽい傘型の形状が出来上がってくるのです。
このように表からのハンマリングを全体的にまんべん無く均等に行い、順方向に曲げ直していくことで、シンバルに必要なボウ部分の反りをしっかりと作ることができるのです。
ちなみにハンマーを入れる場所は、完成時にトーンがしっかりと出やすくなる性質があるそうで、振動の早い内側を多く叩くと高音が目立ち、振動の遅い外側を多く叩くと低音が出てくるとの事。
形状的にも真ん中を多く叩くと、クラッシュによく見られる傘型に近い急角度なフォルムを作る事ができて、高音が目立ってきます。面白いですね!
③仕上げ整形
こうして全体のフォルムが完成してきたら、次は全体の形状を整えていきます。
まず、シンバルの理想的なカーブに切り取られたスケールをシンバルに当てて形状を確認。

さらに、水平な金属台の上に乗せ、エッジに浮きがなく均等に乗っているかを確認します。

ここから全体を手で触って凹凸を確認し。
状況に応じて表、裏からハンマーを入れて、全体の形状にムラが出ないように整えていきます。

この段階まで来ると繊細な加工が要求されるので、ハンマーもストロークを小くし丁寧に打ち込まれていきます。
この難しい加工も小出さんの素晴らしい指導のおかげでスムーズに進み、皆さんイイ感じに整ったシンバルを作ることができましたね。

④レイジング
ハンマリングの次は音溝を掘っていく「レイジング」の工程に移ります。
旋盤に固定したシンバルを高速回転させ、そこにブレードを押し当ててシンバルを削っていきます。

レイジングは音に大きな影響を与える上に、やり直しのできない熟練の技術が必要な作業ということで、今回は小出さんに加工をお願いしました。

理想とするサウンド、お持ちのシンバルとの相性を参加者さん、小出さん、どらむ村スタッフでディスカッションしながら、目標の厚さ、重さなどを決定し、小出さんの丁寧なレイジングでシンバルが仕上げられます。


ハンマリングしたシンバルが仕上げられていく工程を見守る、参加者の皆さんの視線も真剣そのものであります!

⑤完成
こうして約3時間にわたる作業の末、ようやくシンバルが完成!

どのシンバルも綺麗に仕上がっています。
せっかくですので、皆さんに完成したシンバルを試奏して頂きました。
皆さんようやく自分で作ったシンバルを叩く事ができ、感動もひとしおです!

とは言ったものの、実はハンマリングしたてのシンバルは金属が安定しておらず、すぐには綺麗な響きでは鳴ってくれません。
ここから、少しずつ時間が経つことにより、最初のこもった感じがなくなってきて明るさを増し、立ち上がりの良い素直な美しいサウンドに変化してきます。
B20材シンバルのサウンドが安定するまでには、なんと1か月もかかるそうですが、作りたてのシンバルを持って帰って、少しずつ音が完成していく様子を聴き比べれるのも、このワークショップならではですね。
最後は皆さん完成したシンバルを手にして記念撮影!

皆さん長時間の作業お疲れ様でした!ご参加ありがとうございます!
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